火山噴火(大)に備える

巨大な隕石でも落ちてこない限り、地球上でもっとも致命的な災害は大規模な火山噴火です。

「シベリア・トラップ」や「オントン・ジャワ海台」という言葉を聞いたことがある方は少ないかもしれませんが、数億年も前に生物の大量絶滅を引き起こした火山活動の巨大な痕跡です。
なお「シベリア・トラップ」は、噴出した溶岩が西ヨーロッパに匹敵する面積を覆っています、極端な例ではありますが、いかに災害の規模が桁違いなのかがわかるでしょう。

そこまでではなくても、7万5千年前にインドネシアの「トバ・カルデラ」が噴火した際には、その影響で全世界に展開しつつあった現生人類がほぼ死に絶え、アフリカに1000人程度しか生き残れなかったとも言われています。

日本で起こり得るレベルを考えるともう少し規模は更に小さくなりますが、それでも日本人の9割以上を死に至らしめるだけの噴火は、過去に何度も起こっているのです。
阿蘇、加久藤、姶良、阿多、鬼界の各カルデラが大規模な噴火をした場合、日本の大部分は人が住み続けることは出来なくなるでしょう。

理由ですが、直接溶岩が流れてこなくても、噴石が飛んでこなくても、火砕流が来なくても、非常に広範囲に灰が降り積もり、日照が阻害されるからです。

前述のようなカルデラが大噴火を起こした場合、降灰量は近隣ではざっと数十メートルかそれ以上、1000km近く離れていても優に10センチ以上になる上、送電網はほんの数ミリの降灰でマヒしますので、電力の供給停止から水道・通信等も使えなくなります。
都市機能は麻痺ではなく、ほぼ永久的に「消失」します。

非常に厄介なことに、灰の積もり方はその時の風向きによります、夏と冬では全く違ってきますし、台風が接近していたりすると、いよいよ予想が難しくなります。

降灰量にもよりますが、10センチも積もれば事実上復旧不可能でしょう、そもそもその場所ではまず生き残れません。

また内燃機関の車等は吸排気系の詰まり等で動作が困難になりますが、それ以前に電子機器は微細な火山灰の侵入で故障しますので、現代の車がどこまでちゃんと動くのかは不明です。

ともあれ阿蘇をはじめとした九州界隈の巨大カルデラの大規模噴への備えを考える場合、日本国内に安全圏など無いと言わざるを得ません。
国内のどこにいたとしても、直ぐに死ぬか、その場は生き残っても遠からず死ぬか程度の差しか無いでしょう、諦めるのが嫌なら、海外へ脱出する以外に現実的な選択肢はありません。

敢えて言うなら、当然そんな火山からはなるべく離れておいて、且つ、前兆があった場合にはすぐに海外に脱出できるよう、国際空港に近い場所に住んでおく、くらいしか対処がありません。

なおそういうレベルの噴火が実際に起こってしまった場合は、地球規模で数年以上は気温が大幅に低下し、食料の生産量が数分の一かそれ以下になると考えられていますので、食料をめぐる熾烈な争いが確実に起こるはずです。

つまり海外へ避難したとしても、飢餓と戦争の恐れから逃れることはできないでしょう、お金で食べ物が買える保証など、無くなっているかもしれません。

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